2011.01.10

Best Disc 2010 【All Genre】 Carlos Aguirre Grupo "Carlos Aguirre Grupo"

順不同/本日の2位。


crema.jpg

●Carlos Aguirre Grupo /Carlos Aguirre Grupo

ご存知の方が多いかもしれないけれど、念のため。アルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレ・シーンを代表する作曲家/シンガー/ピアニスト、カルロス・アギーレの記念すべき1stアルバム。現地での発売は2000年だが、まるで2010年の日本でリリースされるのを待っていたような作品、と言ってみる。
フォルクローレ、と聞いた途端「コンドルは飛んでゆく」が脳内再生された貴方に、真っ先に差し出されるべきアルバムかもしれない。

不思議な揺らぎの感覚があるレコードである。彼の生活拠点に隣接する、パラナ河のせせらぎに影響を受けたサウンドで……常套句のように語られるそんな説明も、あながち間違いでもないように思える。
もし本当にそうであったならどれだけ素敵だろうか、今すぐパラナまで確かめに行きたい、その風景をこの目で確かめに行かない人生なんて、、、聴くたびに、呪文のように、そんな思いが頭をかすめる。

グループを構成している二人のギタリストと、ベースプレイヤーの演奏が素晴らしい。ゆるやかな風、ミナス音楽にも通じる浮遊感、水面にちらちらと反射する光の屈折。そんなイメージを生むサウンドは、この3人の貢献によるところが大きいと思う。秋に実現したソロでの来日公演でも、ギターを手にした時のほうが、この音楽の背景がよく表現されていると感じた。ピアノが本分のアーティストであることは疑いようがなく、ギタリストとしてはつたないところもある演奏だったけれど、それでもなおそのギターは、曲の躍動感をより良く伝えていたのである。
サウンド的には様々な要素が溶け合っていて、クラシック、ECM系のジャズから受けた影響の大きさは本人もたびたび語っている。直接話を伺う機会があり、NRTのCDもいくつかプレゼントしたのだけれど、ヘナート・モタのこともちゃんと知っていたり、ブラジル音楽への造詣も深い。ただ、その楽曲、メロディには、それら外の音楽からの影響を感じる瞬間はほとんどない。では一体それは、何でできているのか。
アルゼンチンに、パラナに旅する理由が、これでまた一つ出来てしまった。

http://www.carlosaguirre.com.ar/