2010.10.11

ホベルタ・サー&ペドロ・ルイス ジャパン・ツアー 決定!

怒涛の来日ラッシュに沸く今秋、そのトリを飾るべく、ホベルタ・サーの初来日が決定!

ホベルタ・サー & ペドロ・ルイス ジャパン・ツアー
 
11/27(土)@名古屋 BOTTOM LINE
open 17:30 / start 18:30
前売 5,000円 / 当日 6,000円(全自由席・ドリンク代別途)

11/29(月)11/30(火)
@東京・恵比寿 LIQUID ROOM
open 18:30 / start 19:30
前売 6,500円 / 当日 7,500円(ALL STANDING・ドリンク代別途)
   
主催:LATINA、J-WAVE(東京公演)
協力:NRT、オフィス・サンビーニャ、USEN、ARTENIA
   URUBANA(名古屋)、SAMBATOWN(名古屋)
   G.R.B.P. mocidade vagabunda(東京)、Bar Blen blen blen(東京)

チケット予約方法、最新情報などはこちら:
ホベルタ・サー & ペドロ・ルイス ジャパン・ツアー オフィシャルサイト


コンサート内容の詳細は今のところ不明ながら、おそらくホベルタが演出の中心となるのではないか、とはラティーナさんの談。
メンバーも、最新作『Quando O Canto É Reza』で共演した三人組<トリオ・マデイラ・ブラジル>ではなく、ライブ盤を含むそれまでの3作をプロデュースしたホドリーゴ・カンペーロが参加するとのことで、NRTでリリースしている2nd『なんて奇妙で 素敵な一日』の雰囲気に近いショウになることが期待されます。
贔屓目を差し引いても、いまブラジルで最も勢いのあるシンガーの一人で、さらに言えば「新世紀のサンバを象徴する存在」であることは間違いなく、その意味でもこのタイミングでライブを体験できることは本当に貴重な機会となるはず。
ところで、上で括弧でくくったことを、以前『なんて奇妙で~』のライナーノーツに書いているのだけれど、いい機会なのでその一部を抜粋してみたい。


――ポップ・シーンにサンバが帰ってきた――
(前略)
「Alô Fevereiro」に見られるように、プログラミングやスクラッチ音をフィーチャーしたり、ヒップホップ以降を感じさせるビートをミックスしてみたりと、豊富なアイデアと遊び心がポップな印象を与える本作だが、ヴィオラゥンやカヴァキーニョを伴奏に、7弦ギターやサックス、フルート等が対旋律的にメロディを取るアンサンブルは、最もクラシカルなサンバのスタイルであり、ショーロに根差した「サンバ・カリオカ」そのもの。現在のサンバの原型であり、ノエル・ホーザやアリ・バホーゾを筆頭に、サンバの名曲が最も多く生みだされた1930年代を彷彿とさせる曲も少なくない。
 ここがホベルタ・サーの音楽と、他のコンテンポラリー・サンバ作品との一線を画すところだ。話題作につきものではあるが、実は前作リリース時、サンバをポップに解釈しているのがいい・悪いという声も耳にした。しかしこれは、サンバという音楽の成り立ちを振り返ってみれば、本質的に的外れな見方ではないかと思う。彼らの意見によれば、ホベルタがブラジル北東部ナタル生まれで、リオに移り住んだのが9才からだという点、つまり生粋のカリオカではないということや、また彼女のCDデビューの大きなきっかけの一つが、大手TV局グローボの人気音楽プログラム「FAMA」だったことを論拠にしている。要するにこれは、伝統とコミュニティに根差した、ルーツ・ミュージックとしてのサンバを継承する出自ではないということらしい。
 だがすでに述べたとおり、現在ひとくくりに「サンバ」と呼ばれる音楽の雛形が出来上がった1930年代当時、この音楽はラジオやレコードというメディアを背景に急発展をとげた、文字通りの「ポップ・ミュージック」だったことは明白だ。もちろん、サンバがその後エスコーラ・ヂ・サンバを通してコミュニティと結びつき、今日に至る発展を支えてきたことを忘れるわけにはいかない。一世紀近くの歴史の中で、どこに重きを置くかによって色んな見方も可能だろう。だがいつの時代も、良質なサンバ、リオの下町風情と粋をたたえたサンバには、自由で洒脱な雰囲気と、ある種の軽妙さがこめられている。ホベルタ・サーの音楽は、サンバが最も華やかだった時代の息吹と、現代のサンバのあるべき進取性を同時に内包しているのだ。
 つまるところ、サンバをとりまく世界でこの数年起こっていることとは、若い世代のミュージシャンやポップ・アーティストによって、もともとサンバが持っていた自由さを現代に取り戻そうとする動きだと言えるのではないだろうか。その潮流にありながら、シンガーとしての華、キュートな容姿までを持ち合わせ、シーンそのものをリードしているのが、ホベルタ・サーその人である。
(後略)


他のアーティストや現地シーンの動きについても書いているので、機会があればライナー全体も読んでくださいね。
というか、持っていない方、買えるうちにぜひ買ってください。

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ホベルタ・サー『なんて奇妙で 素敵な一日』
定価¥2,500 (税込) DDCN-3011
ライナーノーツ:成田佳洋
発売元:NRT
販売元:バウンディ株式会社

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