Release Information

キケ・シネシ「ライブ・イン・センス・オブ・クワイエット ゲスト:カルロス・アギーレ」 Quique Sinesi "Live in sense of quiet guest: Carlos Aguirre"

2013.02.06 on sale

CD定価: ¥2,592(税込) 
規格番号: NKCD-1006 (qb003)
発売元: NRT / quiet border
解説: 松山晋也 / 成田佳洋


静かなる熱狂の記憶。
代表曲のソロ演奏によるベスト・パフォーマンス5曲、
カルロス・アギーレ(ピアノ、ヴォーカル他)とのデュオ演奏4曲を収録した、
アルゼンチン音楽史に残る傑作。

「単なる音を超えた何か、詩としての音楽。
その本質がもっともダイレクトに表出された、まさに決定盤。」

――松山晋也(ライナーノーツより)


M6「Danza Sin Fin」

M7「Donde Quiera Que Estés」

M5「Otro Día」


◆ライナーノーツ#2 by 成田佳洋
フォルクローレ、ジャズ、タンゴ、クラシカル、etc…さまざまな音楽を独自の技法で演奏する南米屈指のギタリスト、キケ・シネシ。同時にそれらの要素を完璧なまでに昇華した、アルゼンチンが誇る作曲家のひとりでもある。
そのシネシの代表曲を中心としたソロ・パフォーマンス5曲に、盟友カルロス・アギーレ(ピアノ、アコーディオン、ヴォーカル)を迎えたデュオ演奏4曲を収録したのが、本作である。2012年、本邦初のソロ名義での出演となった5月16日のパフォーマンスを中心とした録音(一部は前日の5月15日、「カルロス・アギーレ with キケ・シネシ」名義での公演から収録)。両日とも、静かな音楽祭<sense of quiet>出演時のものである。ミックスとマスタリングはグラミー賞にもノミネート歴のある名匠、アリエル・ガトの手によるもの(ブエノスアイレスのスタジオ「Estudio Puntoar」にて)。

レパートリーは1曲を除き、すべてが本人の手によるものだ。トレードマークの7弦ギターによる冒頭3曲のメドレー、続いてピッコロ・ギターに持ち替えて演奏される「Alta Paz」はさまざまなカヴァー・ヴァージョンを生んでいる。アコースティック・ギターによる「Otro Día」はコンサートでも再演する機会の多い一曲で、プレイヤーとしてのソリッドな一面を覗かせる。
後半の4曲ではカルロス・アギーレが登場。そのリリカルなピアノが光る「Danza Sin Fin」「¿Serás Verdad?」は、これまでシネシの代表作といわれることの多かったアルバム『Danza Sin Fin』にも収録の名曲で、シネシ、アギーレの二人をひとつの中心とした<クワイエット>ムーブメントの象徴となっている曲だ。ほかの曲にも言えることだけれど、これらは作曲者とサポート演奏者、さらにはアーティストと観衆といった関係性を超えて、音楽が織りなす高みへと聴く人を導いてくれる。その間に挟まれる「Donde Quiera Que Estés」では、アギーレがアコーディオンとピアノを交互に演奏、全体を貫くグルーヴに心踊らされる。ラストの「A Beto」はアギーレ作の初出となる未発表曲で、アルバムのエンディングにふさわしい躍動感に溢れた名曲。
キケ・シネシ、そしてカルロス・アギーレにとってもキャリア初となるライブ・アルバムの本作。特にこれまでなかなか表立って見え辛いところもあったアギーレの、演奏家としての閃きがヴィヴィッドに伝わる作品にもなっていると思う。ライブ・レコーディングだが、曲間の拍手は収録しなかった。というのも、この二日間のコンサートのほとんどにおいて、演奏の最後の一音が完全に減衰するまで、会場内に静けさが保たれていたからである(本作の最後を飾る「A Beto」はほとんど唯一の例外で、これはそのまま収録した)。コンサートがいかに日本の人々によって待ち望まれたものであったかが窺い知れる出来事で、アーティスト本人はもちろん、この録音によって初めて状況を理解したエンジニアのアリエルもこれには大いに感銘を受けていた。ライブというシチュエーションからイメージされる喧騒やざわめきから離れて、見守る人々の温かな静寂のなかで鳴り響いた奇跡の瞬間である。そうした静けさに満たされた<sense of quiet>の東京公演二日間は、両日とも満場のスタンディングオベーションによって幕を閉じた。

 静かな音楽祭<sense of quiet>に足を運べなかった方のために、少しだけ後日談を。最終日のアンコールでは彼らとともに、ブラジル・ミナスのデュオ、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート(そして彼らのサポートメンバー、沢田穣治とMayaも)が一斉にステージに登り、アギーレ屈指の名曲「Los Tres Deseos De Siempre」、ヘナート&パトリシアの「Sat Narayan」を全員で演奏した(さらに後者で日本のシンガーソングライター、青葉市子が加わった)。「Los Tres Deseos De Siempre」をヘナートとパトリシアが歌い、「Sat Narayan」のメロディをシネシのギター、アギーレの歌とピアノ、そして青葉市子の歌でつないでいく様に、感涙した方も多かったことと思う。この日を迎えるまでの間に、シネシ&アギーレ、ヘナート&パトリシアは東京の同じホテルに滞在していて、頻繁に互いの部屋を行き来するようにもなっていたのだ。さらにこの後フェスティバルはブラジルへと飛び、ミナス州都ベロオリゾンチのホール、チアトロ・セジミナスにて10月18日に開催された。この時はミナスのアーティストばかり9組の出演だったが、イベントの成功をうけて、今後アルゼンチンや日本勢を招いての開催もありうるかもしれない。またこの文章を書いている今日(2012年11月末)、ケーナ奏者の岩川光とのツアーのために、キケ・シネシが再来日を果たしたところだ。このツアーをきっかけとして、キケ・シネシと日本の音楽家たちとの交流がさらに深まっていくに違いない。

過去から現代までのアルゼンチン音楽を体現する深みをたたえながら、そこにとどまらない広がりを見せはじめたキケ・シネシとカルロス・アギーレの音楽に、この先も注目していただければと思う。そしてそうしたムーブメントのひとつの衛星都市として、東京や日本が含まれているということは、いま見逃すことのできない動きである。それは遠く離れた南米の地だけで起きていることでは全くなくて、いま、このアルバムを手にしているみなさんの足元で起こっていることでもある。ここに収録した名演も、彼らがこよなく愛する日本のリスナーが支え、生み出したといっても決して言い過ぎではないと思うのだ。

2012年11月 成田佳洋


◆RECORDING DATA
1. La Magia Está Dentro Tuyo ラ マヒア エスタ デントロ トゥヨ
2. Candombe Del Arco Iris カンドンベ デル アルコ イリス
3. Canción Hacia Vos カンシオン アシア ヴォス
4. Alta Paz アルタ パス
5. Otro Día オトロ ディア
6. Danza Sin Fin ダンサ シン フィン
7. Donde Quiera Que Estés ドンデ キエラ ケ エステス
8. ¿Serás Verdad?  セラス ヴェルダー
9. A Beto ア ベト

All compositions by Quique Sinesi
Except “A Beto” by Carlos Aguirre

Quique Sinesi: 7 strings guitar, Piccolo guitar (M4), Acoustic guitar (M5)
Carlos Aguirre: Piano & Vocal (M6, 7, 8 & 9), Accordion (M7)

Produced by Quique Sinesi
Exective produced by 成田佳洋/ Yoshihiro Narita (NRT)

Recorded by 井口寛/ Hiroshi Iguchi at Sogetsu Hall, Tokyo (15 & 16th May 2012)
Live sound engineered by 稲荷森健/ Takeshi Inarimori
Mixed and Mastered by Ariel Gato at Estudio Puntoar, Buenos Aires (23, 24 & 26th Oct. 2012)

◆profile
1960年ブエノス・アイレス生まれ、アルゼンチン音楽界を名実ともに代表するギタリスト、作曲家。タンゴとフォルクローレをベースに、ジャズ、即興、クラシック、ワールド・ミュージックなどの意匠を取り入れた演奏技法は唯一無二。多くのギタリストに作品が取り上げられる作曲家でもある(日本でも大萩康司などがカヴァー)。
20代前半で世界的バンドネオン奏者ディノ・サルーシ・カルテットのギタリストとして抜擢されて以降、パブロ・シーグレル、カルロス・アギーレ、チャーリー・マリアーノなどアルゼンチン内外の音楽家と共演、数多くの録音を残している。ジム・ホールらギター・レジェンドとの交流でも知られる。
ソロイストとしてはこれまでに5枚の作品を発表している。2012年5月にカルロス・アギーレとのデュオで初来日、静かな音楽祭<sense of quiet>にて本邦初のソロ名義コンサートを行った。同年12月に再来日。


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