2010.07.29

2010.8.7 イベント "afrontier" @Motion Blue yokohama

この夏のお楽しみ、その2。
Motion Blue yokohamaの名物イベント「afrontier」に、ゲストDJで呼んでいただきました。
これでもか、ってぐらい盛りだくさんな内容です。祭!

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真夏の夜のアフロンティアVol.2!!

コンピレーションアルバムをリリースし、益々勢いを増したアフロンティアが、本拠地モーション・ブルー・ヨコハマにて約1年半振りにイベントを開催する。

豪快なブロウが定評のサックス奏者Issei Masatomiが2010年新たに結成した「Soul Bag
Union」が初出演!ゲストにはロックギターリスト長田進を迎える。また、日本のクラブジャズシーンを牽引してきたキーボード奏者、堀越昭宏のリーダーバンド「XS」がFrances Maya, YURAIら歌姫と共にフューチャーリスティックなジャズを披露する。

ゲストDJに21世紀現在進行形のブラジル音楽を紹介してきた“Samba-Nova”主催の成田佳洋、TUNEにはダンスジャズシーンで人気の高い「I THREE」、近年活躍が目覚ましい「Namy」からヴォーカリストのMedbyが登場。
豪華メンバーでお届けする今回のアフロンティアは、サンバ、ラテン、ジャズと、真夏の夜を熱いグルーブで盛り上げる!


タイトル:「afrontier」
サブタイトル:「真夏の夜のアフロンティアVol.2」

DJ: (Motion Blue yokohama)
Jun Morita(afrontier)、TOJO(afrontier)、Takeshita(afrontier)、木村勝好(in the mix)

Guest DJ: (Motion Blue yokohama)
成田佳洋(NRT/Samba-Nova)

DJ: (TUNE)
大塚広子(CHAMP, Key Of Life+)、高波由多加(Namy/BOSCA)、
Tomi the jazzy monk、小浜雅胤(Routine Jazz)、君嶋麻里江(BOSCA)

Live: (Motion Blue yokohama)
XS 「堀越昭宏(key)、松田博之(b)、今村慎太郎(dr)、Yurai(vo)、Frances Maya(vo)」
ゲスト: isao osada(tp)

Issei Masatomi Soul Bug Union 「正富一成(sax)、江草啓太(p)、清水玲(b)、平井直樹(dr)、
津島周平(per)」
ゲスト: 長田進(g)

Live: (TUNE)
Medby 「Medby(vo)、Daisuke Toi(b)、Yoko Yamazaki(Laranja)(key)」

I Three 「中元雄介(p)、小畔潤(b)、佐野大介(dr)」

VJ : Tasuke

Organizer : isao osada


開催日時: 2010年8月7日(土)
開催時間: 4:00p.m~10:30p.m

Special Live @ Motion Blue yokohama
[6:40pm/XS] [8:30pm/Issei Masatomi Soul Bug Union]

Special Live @ TUNE
[5:40pm/Medby] [7:50pm/I Three」

開催場所: Motion Blue yokohama
〒231-0001横浜市中区新港一丁目1番2号横浜赤レンガ倉庫2号館3F

入場料: 前売・当日共に各3,800円(1drink/消費税込み)
予約開始日: 2010年5月22日(土)
予約先:モーション・ブルー・ヨコハマ(045-226-1919)※11:00a.m.~10:00p.m.
WEB予約※公演前日の22:00まで

チケットぴあ(0570-02-9999) イープラス※公演当日の14:00まで
ローソンチケット 店頭2日前まで(他3日前まで予約可)

イベント詳細はafrontier Webでご確認ください。

2010.07.21

輸入盤 vs 日本盤

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『カルロス・アギーレ・グルーポ』ジャケット写真。一枚一枚が手書きのイラストで、絵柄も違う、というオリジナル版のコンセプトが日本版でも再現されている。)

半年ほど前からtwitterを始めてみて良かったことの一つに、誰か第三者の思いもよらない意見に出会える、ということがある。
とりわけ僕の場合は、音楽と消費にまつわる話題となると、これはもう、どうしても敏感に反応してしまう。一般の方とプロとを問わず、いやむしろ、普段なかなか話を聞けないユーザーの意見、その一端が垣間見れるのは勉強になるし、色々身につまされたりもする。
自分はリアルタイムで参加できなかったけれど、つい昨日、洋楽ファンの間で輸入版と日本版のどちらを選ぶか、そんな話題が盛り上がっていた。日本版を制作したり発売している立場として、常日頃思うところのある話題で、一般に知られていない事実も多いことがわかったので、以下にまとめてみる。


プロ・アマ問わず、洋楽ファンの購買様式としてあがっていた意見を見ると、大まかにいってこの二つに大別されるみたいだ。

①とにかくオリジナル重視の輸入版派
②解説を読みたいので、できる限り日本版派


だけどそもそも、いわゆる洋楽における輸入版と日本版は、どう違うのか。
端的にいって、発売元が国内か海外か、という定義になるのだが、実際の商品としてはこの三つに大別される。

①輸入版: 海外で制作・製造されたレコードが、既製品として輸入されたもの
②日本版: 海外で制作された音源マスターをもとに、日本でレコードを製造したもの
③輸入版国内仕様: 既製品として輸入された商品に、オビ、解説等を封入し、定価設定して売り出されたもの


この他にも例外は色々あって、盤だけを輸入して、ジャケットは日本で作られたものや、その逆のケースなどもあるけれど、おおまかにいって上記の3種類が存在する。ユーザーとして賢い買い物をするには、まずこのことを知っておくことが肝要だ。

①と②では、ジャケットは別ものと思っていたほうがいい。
そして盤のプレスも、製造している工場が違うので、同じマスターを使用していた場合でも、厳密にいえばその音質には違いがある(もっともこれは、同じ工場の同じライン、同じスタンパーで作られたものであっても、1枚目と5000枚目にプレスされたものでは差異があるわけだけれど)。
とすれば、オリジナルを尊重したい輸入版派としては「それみたことか」となりそうなものだが、実際には日本版のほうが<優れた>商品である場合も少なくない。日本版制作者にとって、輸入版との競合は「宿命」なので、意識的な制作者であればあるほど、輸入版にはないアドバンテージを創出して、ユーザーに選ばれる努力をする。具体的には、日本盤のみのボーナストラックを収録したり、リマスタリングを行ったり、紙ジャケットなどの豪華仕様、歌詞、解説、手に取りやすい価格設定、または世界初CD化など、そもそも日本版でしか入手できない企画の場合もある。

つまるところ、海外版と日本版のどちらが優れているということはなく、オリジナル版を改悪したものも、逆にオリジナルを凌駕する優れた仕事もあるというわけだ。

ところで、いちユーザーとしての自分が商品を選ぶ際には、オリジナル版のリリース元であるレーベルのクオリティと、日本版のライセンシー会社の仕事ぶりをみて、どちらを買うか判断している。
例えば、音の良さに定評があって、アートワークも一貫した美意識を打ち出しているECMやNonesuchといったレーベルの商品なら、迷わずオリジナル版を選ぶことが多い気がする(どうしても解説や歌詞が気になる場合は、日本版を買い足す)。
日本版でも、例えばセレストが発売するタイトルなどは、ジャケットのデザインや、ブックレットに記載されているデータへの信頼があり、なおかつオリジナルの良さを改悪しない確信が個人的にあるので、輸入盤よりも日本版のほうを率先して選ぶことにしている。
そして悲しいことに、ここの日本版だけは絶対買いたくない、というレーベルもいくつか。

NRTでは独自企画による原盤制作も行っているので、全ての例に当てはまるわけではないけれど、ライセンス商品を発売する際は、当然ながら輸入盤よりも総合的に優れた作品として世に送り出せるよう努めています。タイトルによってその長所は違うけれども、いちユーザーとしての視点に立脚しつつ、色んなニーズを盛り込み、出来るかぎり良心的なリリースを心がけています。
当たり前の話だけど、海外の原盤元やアーティストと相談の上、製造を行っているので、オリジナル版を超える商品を作ることは相手先の信用にもつながる。またユーザーにそのことが評価されれば、結果的にいいセールスを生み、ますます海外の音楽を紹介できる(発売できる)という循環を生みやすくする。
実績も信用もほとんど全くのゼロからスタートした当レーベルが、ジルベルト・ジルやアントニオ・カルロス・ジョビンといった世界的巨匠の日本版を発売できるようになったのも、こうした積み重ねがあったりするのである。


考えてみれば、どんなにいいジャケットを作ったとしても、ネット上では質感までは伝わらない。だからこれも時代にそぐわない作り方かもしれない(輸入版が10円でも安ければ、何も考えずにそちらをポチッとしてしまう経験は、自分にも覚えがある)。けれどきっと、お客さんの手に届いたときには、何か感じてもらえるのではないか。報われるかどうかわからない、そんな一線を守りつづけられるかどうか、つまるところそれも制作者の意地みたいなものに依っている。だから自分も、そんな気概が感じられるレーベルのものは、ついつい買ってしまったりする。
個人的にはデジタルで買うこともあるので、その良さも知っているつもりだけれど、物づくりのストーリーを大事にする制作者がいる限りは、パッケージ商品を買い続けるに違いない。
リアル店舗とパッケージ制作者が一蓮托生だという一因も、ここにある。

2010.07.07

「ブラジルかぶれのカナ表記」、または知られざる命名プロセスについて


今まで「できるだけ関わらないように」気をつけてきた、ブラジル・ポルトガル語のカナ表記について、一言。
つまらなそうな話と思った方は、どんどん読みとばしてくださいね。


事の発端は、萩原和也さんのブログの記事「ブラジルかぶれのカナ表記」。
詳しくはそちらの記事を読んでいただきたいけれど、このブラジル・ポルトガル語の問題については、かねてから日本のブラジル音楽ファン、関係者周辺でよく話題に上ってきた。
例えば、Maria Rita。日本人には「マリア・リタ」ではなく、「ヒタ」が発音上・聴感上近い表記として一般化していると思うが、それへの苦言といった内容が、本記事で展開されている。
萩原さんの説を要約すると、ブラジル音楽(というよりポルトガル語)ビギナーにとって、この表記だと「スペルの綴りから大きく外れるのでは、カナ表記の持つ大事な特性を奪うことになるんじゃないでしょうか」と書かれている。引用を続けると、「外来語をカタカナに置き換えること事態が無理なのに、正確さにこだわればこだわるほど、もとの発音を知らない人にはますます伝わらなくなる」との主張。
主流派の一角を占める「ローマ字特性主義」(いま勝手に名づけただけですが)とでもいえる説で、個人的には必ずしも同意見ではないとしても、別の見方もあるということは納得できるし、それ自体を否定をするつもりにはならない。

そのまま半分ぐらい読み進めると、こんな一文も出てくる。
「(発音原理主義的な)表記が不快なのは、要するに、キザったらしいからなんですよ。」
それまでのロジカルな論理を覆すこのフレーズをみて、結局、個人の趣向に基づく一意見だったことがわかって、しかもそれがツイッター上で多くの賛同を得られているのを見たもんだから、なんだかがっくりきてしまった。
それでも普段の自分であれば素通りを決め込むに違いないのだが、なにせ、弊社でリリースしているRoberta Sá、「ホベルタ・サー」までが俎上にあがっているので、こうして書くつもりになった次第。

萩原さんも認めているとおり、「外来語をカタカナに置き換えること事態が無理」なのだから、カナ表記を厳密に定義すること、しようとすること自体が、ナンセンスだ。これに異論のある人はおそらくいないだろう(うーん?いるかもしれないねえ)。だから基本的には、「R」をラ行に訳すべきか、それともハ行にすべきか、そういう「ほとんどどうでもいいような」微小な差について、それぞれが自説を戦わせているだけにすぎない。音楽ファンは特に「自分が一番わかっている」と言いたい傾向が強いからか、こうでなければならない、との論調が自然と多くなってしまいがちなので、そういう議論自体もまあそんなに嫌な気はしない。(第三者からみれば、ほんと、どうでもいいような問題にしか見えないと思うけれども。)

ただし、弊社のリリースしているアーティスト名についてであれば、これははっきり言わせていただきたい。
「ホベルタ・サー」は、Roberta Sáの抄訳ではない。これは日本におけるアーティスト名、つまり芸名であり、他の表記はありえないのだと。

Roberta Sáだけでなく、例えば、Renato Motha。彼のアーティスト名は、弊社では「ヘナート・モタ」と表記して、CDを発売したり、公演を興行したりしている。
ネット上で「レナート・モタ」とか、「ヘナート・モッタ」という表記を稀に見かけるけれど、NRTでリリースしているアーティストとしての“Renato Motha”作品においては誤記であり、ヘタをすると全く違う商品をさしていると認識されることになりかねないということに、その発言者は留意しているだろうか。少なくとも、あえて故意にそのリスクを犯しているということは認識していただきたい、と切に願うものである。

他のレコード会社がどうしているかはよく知らないけれど、弊社では、それが弊社の原盤を保有しているアーティストか否かに関わらず、可能な限り本人やマネージャーとも会って、アーティスト活動全体を見据えたプランニングをしている。繰り返すけれど、「ヘナート・モタ」は訳ではなく、日本語の「芸名」を「命名」したものなのだ。なので、ここで誰かが、いや、彼の名はレナートさんだ、といった瞬間に、その人は誰か別のアーティストについて語っていることになる。
日本名を命名するときには、自分の感覚だけでなく、考えつくあらゆる意見を並べて、そのメリット・デメリットを推し量る。可能であれば、本人にも日本語風の読みを伝えて、これでいきますよという話をする。当然カタカナについての語感がない人が相手なので、厳密なニュアンスを理解できるわけではないけれど、少なくとも本人が「発音されたくない」表記にしてしまうことは、これで防げる。


そうしたプロセスを経ているという事実を知らない人が多いと思うので、思いきって書いてみました(それにもちろん、一方的にキザと言われっぱなしなのも嬉しくないし)。

でも、とにかく書いてみて良かったことが一つ。
今後は同様の論争に巻き込まれそうになったときにも、「ブログの記事を読んでくださいね」という逃げ口上が、これでどうやらできたというわけで…。

2010.07.02

2010.7.17 イベント "Ensaio Geral vol.3" @横浜関内Dragon Club

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成田佳洋がDJで参加するイベントのお知らせです。

Summer Sonic 2009にも出演した横浜オリエンテッドなサンバ集団「mocidade vagabunda bateria nota 1000」。
かたや、今年のフジロックにも出演が決まった「カンタス村田とサンバマシーンズ」。
サンバを骨組みとしつつ、日本のグループならではのサウンドを展開する話題の二組を同時に体験できる、注目のイベントです。後者は僕も初めてライブを見るのですが、ブラジル系ではこの夏いちばん楽しみなパーティーになりそうです。
モシダーヂ・ヴァガブンダがプロデュースするブラジリアン・バール、「barracão da mocidade」によるフードもあります!


『Ensaio Geral Vol.3』
Date: 2010.07.17.sat 16:00 - 21:00
Location: 関内Dragon Club
Charge:
DOOR 2,500yen + 1 order
ADV. 2,000yen + 1 order
     with Bate Forte Badge 1,000yen + 1 order
Main Event: mocidade vagabunda samba showcase
Opening act: mocidade vagabunda bateria nota 1000
Live act: カンタス村田とサンバマシーンズ
Guest DJs:
     成田 佳洋(NRT / Samba-Nova)
     コクブ(Bar MOVE)
     EN(横浜レアグルー部 )
     MRKSK(Electronic Massage)
     haraguchic(communication!)
Drink&Food: barracão da mocidade

リオ・デ・ジャネイロ流儀のナイトライフを日本のクラブシーンにプロットすべく結成されたサンバ小集団G.R.B.P. mocidade vagabunda。その大本命とも言うべき大人数爆音サンバグルーヴを中心としたクラブイベント「Ensaio Geral <エンサイオ・ジェラウ>」。2009年11月に開催されたVOL.2に続き、VOL.3の開催が遂に決定!
 G.R.B.P. mocidade vagabunda結成以来、様々なイベント/パーティで競演した豪華DJ陣を迎え、サンバ、ソウル、ファンク、ヒップホップから最新のハウスチューンまで、バイリ・トゥードなダンスミュージックがフロアを直撃。さらに、メインフロアのオープニングアクトには、Summer Sonic 2009にも出演したmvのフラッグシップ・ユニット mocidade vagabunda bateria nota 1000、ゲストライブには爽快なブラジリアン・ファンキー・ミュージックを奏でるカンタス村田とサンバマシーンズ、そして打楽器練習会を標榜したイベント「Ensaio Tecnico」で認定された者だけに与えられる「Bate Forte Badge」を持つG.R.B.P. mocidade vagabundaのメンバーによるリズムの大洪水まで、様々なグルーヴを体感できるスペシャルなヌーンパーティ。
 2010年7月17日、横浜にリオ・デ・ジャネイロの熱い風が吹く。

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BOOKMARK

NRT
THE PIANO ERA
藤本一馬
Kazuma Fujimoto official web

PROFILE


成田佳洋:
maritmo株式会社 代表取締役プロデューサー。レーベルNRT主宰。
静かなる音楽フェスティバル 【sense of "Quiet"】、CDシリーズ/ラジオ番組/イベント 【Samba-Nova】 主催・企画・制作。
世界と日本のピアノ・フェスティバル【THE PIANO ERA】主催プロデューサー(novus axisとのダブル主催)。
音楽ライター・選曲家として、ワールド・ミュージック全般を中心に、ジャズやロック・ポップスなどのフィールドで活動中。ライナーノーツ多数。

74年東京生まれ。96年よりレコード会社勤務、その後外資系CDショップにてワールドミュージックおよびジャズのバイヤーを5年勤めたのち、02年に初めてブラジルに渡航。当初レコード・ショップ開業のため買い付け目的での滞在が、現行シーンのあまりの面白さと、その背景の豊かさに触れ、レーベル開業を決意。帰国後レコード会社勤務を経て、04年にNRTをスタート。音楽の一方的な「啓蒙者・紹介者」としてではなく、「共有者」としての視点をベースに、CDリリース、原稿執筆、ラジオ番組の選曲・構成、レコーディング・ライブイベントの企画・制作などを行う。

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