2010.02.20

Tomoko Miyata 『Secret Of Life』 プロデュースを担当しました。

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以前このblogでもレコーディング情報をお知らせしましたが、
成田佳洋がプロデュース(共同)、ライナーノーツを担当したアルバム、
Tomoko Miyata 『Secret Of Life』がバウンディより2010年3月3日に発売されます。

Tomoko Miyataはニューヨーク在住のシンガーで、自主盤を除けばこれがデビュー作。
NY在住のブラジル人ギタリスト、ホメロ・ルバンボのいわゆる「秘蔵っ子」で、ホメロには全曲のギターを演奏してもらっただけでなく、アレンジの多くも手がけてもらった。
念のため申し添えると、このホメロという人は、ダイアナ・クラール、ダイアン・リーヴス、ルシアーナ・ソウザなど、現代ジャズ・シーンのトップ・シンガーとの共演で知られる、現在最も活躍しているギタリストの一人。同時に彼はブラジル音楽シーンでも、マリーザ・モンチの数作への参加や、近年はガル・コスタとの共演で知られるトップ・ミュージシャンだ。
ライナーノーツにも書いたのだけど、元々はこのプロジェクト、ホメロのソロ・アルバムを制作するという話から派生したもの。「Tomokoを先にレコーディングするべきだよ」と、ホメロから逆にプレゼンを受けるかたちで耳にしたのが、彼女を知るきっかけだった。

その後09年2月にNYで見たライヴで、ニューヨーカーたち、多くは彼女と同世代の女性たちに受け入れられている様子をみて、不覚にも心を動かされてしまった。場所はマンハッタン・イーストヴィレッジの“Drom”。ジャズクラブほど格式ばってはいないが、ロックバンドがスケジュールの大半を占めるライブハウスほどラフな雰囲気でもない、なかなか感じのいいヴェニューだ。といっても100人も入れば文字通りパンパンになるので、名匠・ホメロを従えるにはプレミア感が高いのだが、それはともかく、Tomoko Miyataのシンガーとしてのポテンシャル、特に英語シンガーとしてネイティヴの心をつかんでいるさまには、本当にびっくりしてしまった。
そんな体験を誰かに伝えると、「日本人が本場に渡って、外国語で向こうの観衆を盛り上げるなんてすごいね」という流れに決まってなるのだが、そうした「外国語・洋楽コンプレックスの克服」というストーリーとは違う理由、もっと根源的な意味での、音楽によって胸のすくような体験として、その時間を楽しんだ。その日のリスナーは、純粋に彼女たちのサウンドと「言葉」に、あきらかに反応していた。ジェイムズ・テイラーやジョニ・ミッチェルの隠れた名曲、この時代には地味ですらあるかもしれないレパートリーが、一人ひとりの共感を呼び、言葉のワンフレーズに反応した歓声が曲間から沸き起こる、というようなことが、現代のニューヨークで体験できるとは夢にも思わなかった。僕はほとんど、この瞬間にこの街を好きになったと言ってもいいほどだ。

そんなこんなで、ほとんど成り行き上からそのままプロデュースを引き受けることになり、09年8月にレコーディング、そしてようやくリリースまで漕ぎ着けたのがこのアルバム。
ミュージック・マガジン、intoxicate、スイング・ジャーナル、CDジャーナルといった音楽誌を中心に、新人としては異例の規模でインタビューや記事が取り上げられているので、詳しくはそちらをご覧ください。特に月刊ラティーナでの宮子和眞さんの記事は読み応えたっぷりでオススメです。

それで一体、どんな音楽なの?と興味を持っていただいた方は、こちらで試聴してみてください。
Tomoko Miyata on myspace


Tomoko Miyata 『Secret Of Life』
2010.03.03 in store (Japan)
¥2,800(tax in) DDCB-13011
Released & Distributed by BounDEE

Track Listing
1. The People That You Never Get To Love (Rupert Holmes)
2. Conversa De Botequim (Noel Rosa)
3. Don't Let The Teardrops Rust Your Shining Heart (Ben Watt)
4. The Shadow Of Love (Yosui Inoue / Koji Tamaki)
5. What My Heart Does (Tomoko Miyata)
6. Tea For Two (Irving Caesar / Vincent Youmans)
7. Medley:
 Caminhos Cruzados (Newton Mendonça / Antonio Carlos Jobim)
  Old Mistake (Susan Werner)
8. Sambadalú (Marco Pereira)
9. Secret O' Life (James Taylor)
10. Rio Dos Deuses (Romero Lubambo)
11. Acaso (Ivan Lins / Abel Silva)

Vocal: Tomoko Miyata
All the Acoustic, Electric, Fretless Guitars and Cavaquinho Played by Romero Lubambo

Scott Colley: Bass (1, 5, 7, 10, 11)
Mark Walker: Drums (7, 10, 11)
Cyro Baptista: Percussion (1, 2, 4, 5, 7, 10)
Helio Alves: Piano (1, 7, 10)
César Camargo Mariano: Piano (6), Synthesizer and Programming (11)
David Kinderson: Piano (9), Accordion (3, 7)
Dana Tateo Leong: Cello (4, 5)
Additional Vocal: Romero Lubambo (2, 10)