2010.01.30
“Twitter” はじめました。
2010.01.30
Renato Motha & Patricia Lobato “Mantra Session” with orchestra
ヘナート・モタ&パトリシア・ロバートが09年12月20日に行った、弦楽オーケストラとの共演コンサート動画をUPします。
レパートリーはすべて、インドの「マントラ」にオリジナルのメロディを付けた、通称「マントラ・セッション」。
ミナスの州都ベロ・オリゾンチの代表的ホール「チアトロ・セジミナス」で行われたもので、同内容のショウは今年2010年の年末にも予定されているそう。
音声が鮮明でないのが残念だけど、壮大な演奏が展開されていたことは充分に伝わります。
09年来日時のマントラ・セッション(4月26日/鎌倉・光明寺)の動画はこちら
マントラをコンセプトとしたアルバム『サウンズ:平和のための揺らぎ』
2010.01.22
ハイチ地震募金 iTunes Storeにて受付中
紹介が遅くなりましたが、ハイチ地震の募金をiTunes Storeにて受付しています。(こちらのサイトで知りました)
1/23に行われるチャリティーイベントのライブアルバム売上が各機関へ100%寄付されるほか、
今すぐアメリカ赤十字社に募金することも可能。
iTSのアカウントを持つことが必要だが、手続きは簡単で、500円から募金額を選択できる。
ハイチにはまだ行ったことがないけれど、その素晴らしさは、やはり音楽から推し量ることができる。
20才前半の頃、小規模チェーン展開している「cafe HAITI」によく行っていた。ここでいわゆる現地のポピュラー・ミュージック「ヘイシャン」がよくかかっていて、黒くて、まろやかで、びっくりするぐらいファンキーな曲がかかることも度々あった。お店の人に伺うと、
「昔この店にハイチの音楽に詳しいスタッフがいてね、そいつが作ったカセットをずっと流してるだけだから。」
ということで、アーティスト名も何もわからずじまいだった。でもそのうち、あんまりこちらがしつこいからか、奥のほうに放置されっぱなしになっていたらしいLP数枚を譲っていただいたのだった。
この店では、コーヒー豆の仕入れついでに、LPを買い付けしていた時期があるらしい。それが確か70年代末~80年代初頭ぐらいの話で、その大多数は中村とうよう氏が買い占めていったとのこと。
そんなことがあってからというもの、ずっとハイチの音楽が気になっていて、パリやNYに行く際には注意して探すようにしている。後日そんなオススメのアルバムも紹介していければと思うけれど、そこで伝わってくるポルトープランスの風景も、この地震によって一瞬にして変わり果ててしまったに違いない…。犠牲者のご冥福をお祈りします。
2010.01.12
Best Disc 2009 【All Genre】
09年は耳を通す新譜の枚数がさらに増えて、月120~150タイトルにものぼっただろうか。
そのうちブラジルものの割合はせいぜい15%、20枚程度だから、毎月毎月100枚以上、ヒップホップからクラシック、各国のトラッドや民族音楽に至る、様々な国の面白い音楽に出会ったということになる。
このblogや当レーベルに期待されているものがあるとすれば、それはやはりブラジルものに他ならないとは思うけれども、とはいえ元々色んな音楽を経由してブラジルに行きついたリスナーがほとんどだと思うので、ブラジル以外の【オールジャンル・ベスト】も5枚だけご紹介します。
ブラジルにどっぷり一直線、という人も手にとってもらえたら嬉しいです。
#1: V.A. /DARK WAS THE NIGHT
09年はよく言われるように、いわゆる“ブルックリン勢”を軸に、カナダを含めた北米のオルタナティヴが面白かった。エイズ・チャリティの名物シリーズ最新作は久々にこの界隈のアーティストがメインで、ダーティー・プロジェクターズ(+デヴィッド・バーン)に、ファイスト2曲(それぞれGrizzly Bear, Ben Gibbardとの共演)、クロノス・クァルテット、キャット・パワー&ザ・ダーティー・デルタ・ブルーズ、スフィアン・スティーヴンス、etc, etc...といつもながら聴きどころ満載。サウンドはどれも地味で荒涼としてるけど、その反面、生きた人間のぬくもりが伝わる歌声の持ち主ばかりで、全体に一貫して流れるロードムーヴィー的なストーリー性にも大いに魅了された。
DARK WAS THE NIGHT on Myspace
#2: 坂本龍一 /OUT OF THE NOISE
正直なところ、これまであまり興味が湧くことのなかったアーティストで、お勉強的に5枚ぐらい聴いたアルバムも全くピンとこなかった。あらゆるメディアで展開される露出戦略も、あまりいいイメージを抱けなかった理由の一つという気がするのだけれど、これは掛け値なしに素晴らしい一枚。現代音楽、環境音楽、ミュージック・コンクレート、エレクトロニカ、、、といったバックボーンで語れる音楽には違いないけれど、全然そんな言葉じゃ伝わらない奥行き、音の出どころの深さが感じられる。スピーカーやヘッドフォンから、こんな根源的な音を鳴らせるのか、という驚き。
#3: MOCKY /SASKAMODIE
ファイスト、ゴンザレス、そしてこのモッキーに、近頃もっとも「フレッシュさ」を感じる。これも60'sモータウン的な希望に溢れたレコード。
MOCKY on Myspace
#4: MAXWELL /BLACK SUMMERS' NIGHT
8年ぶりのアルバム、それも、相変わらずの生音ヴィンテージ志向。で、ビルボード初登場1位。それだけセックス・シンボルということなんでしょう。ニュー・クラシック・ソウル、とかいう言葉もありましたが、この人の場合、単に「ニュ-・ソウル」としたほうが雰囲気がよく伝わる(ただし、70'sニュー・ソウルの単なるレプリカではない魅力もちゃんとある)。本質的な甘さ、ほろ苦さが、既に老舗の味わいのように生きている音楽。
The Official Maxwell Youtube Channel
#5: MELODY GARDOT /MY ONE AND ONLY THRILL
語尾が少し震える感じとか、思わず耳を「そばだてて」しまう歌声に、不覚にもやられてしまった。ティン・パン・アレイ(もちろんNYのほう)の名曲みたいなクラシカル感をあらかじめ兼ね備えた楽曲も素晴らしい。交通事故から復帰するため、セラピーのために作曲を始めた、という有名なエピソードも嫌いじゃない。
MELODY GARDOT on Myspace
2010.01.03
【Brasil Best Disc 2009】 #1: Ana Costa "Novos Alvos"
あくまで自然体、等身大の女性の心情を歌いながら、本物のサンバだけが持つポエジーをものした傑作2ndアルバム。
サンバにも色々あるけど、晴れた日に口笛吹きながら、物憂い日でもとにかく海をめざして歩いていく、これはそういうサンバだ。全体に風通しがよく、伸び伸びと心地よいけれども、陰影はくっきりと深い。何よりまず優れた楽曲が揃っていて、歌声から伝わるたたずまいが美しい、というシンガーソングライター作品に求められる魅力がしっかり備わっている上に、リオの空気、カリオカの生活感が、アルバム全体を通して鮮やかに伝わってくる。
ちなみにプロデュースはアレ・シケイラで、前掲のマリーザ・モンチ、カルロス・ヌニェス作品も手掛けているキーパーソン。音響的にも新味があって、眩いなあ。フリー・ソウル的な雰囲気の1stもオススメです。
2010.01.02
【Brasil Best Disc 2009】 #2: Daniela Mercury "Canibália"
近年のダニエラ・メルクリ作品の充実度は本当に目を見張るものがあるのだけれど、ある時期にセンセーションを起こしたシンガーの例によくあるように、日本ではデビュー時のイメージが仇となってなかなか理解されていないように思える。ダニエラにとっての“仇”とはもちろん、バイーアのダンサブルなポピュラー音楽としての「アシェー・ミュージック」で、これを狭義で捉えれば「パラパラのラテン風みたいなアレ」ということになる(批判じゃないです、念のため)。このアシェーという言葉、現地ではかなり広い意味で使われる、この国特有の宗教的な言語表現の一つで、手元の辞書を開くと【オリシャ(カンドンブレ、ウンバンダなどの神)の霊力; その力が宿る物】とある。ダニエラ・メルクリの音楽を語る上で、「アシェー」を後者の意味で使うなら、これ以上ふさわしいものはない。
歌に秘められた霊性や念の強さは、まるで70年代のエリス・レジーナ(04年に発表したアコースティック編成のライヴ・アルバム『Clássica』では、エリス直系といっても過言ではないサウンドを展開してみせた)。エリスが霊媒のごとく突き抜けた歌唱の持ち主だとすれば、ダニエラは、もっと地平に近いところから、天を真っ直ぐ見上げて祈るようなストリート感覚がある。サウンド面でも、アフロ・バイーアのエッセンスをワイルドかつグローバル・モダンに昇華した超・力作。このブログをチェックされているような方は、まず全員必聴です。
2010.01.01
【Brasil Best Disc 2009】 #3: Caetano Veloso "Zii e Zie"
09年は北米のロック・カテゴリーにいい作品が多かったように思うけれども(後述)、まさかカエターノに、3ピースのロック・バンドをバックにしたこんな傑作を作られては、若い世代は出る幕がないじゃないか。
カエターノは元々ニルヴァーナが大好きで、今作ではピクシーズにも強い影響を受けているらしく、一聴すると確かにオルタナティヴ・ロックの手触りなんだけれど、同時に「サンバを超えたサンバ・アルバム」というコンセプトを元にすることで、ピクシーズがサンバをやったような本作が産まれた(いや本当に)。素をさらけ出したカエターノも魅力的だけれど、ギターのペドロ・サーを中心としたこのバンドがなんともスリリングで、ロックにおける3ピース・サウンドの歴史を塗り替える斬新さ。
メンバーは同じだが、よりロックのイディオムに拠っていた前作『Cê』がイマイチだったという人も(私がそうです)、ぜひ一聴することをオススメします。
カエターノ・ヴェローゾ公式hp/zii e zie特設ページ
※こちらで全曲聴けます。(原稿投稿時)
2010.01.01
【Brasil Best Disc 2009】 #4: Egberto Gismonti "Saudações"
あけましておめでとうございます。Happy New Year & Feliz Ano Novo!
今年もみなさまが良き音楽生活を送られますよう。
本当は旧年中に1位までupするつもりだったのだけど、やっぱりだめだったなぁ、、、
まあ、2010年もゆっくりやっていきますので、よろしくお願いします!
1位にするかどうか最後まで迷った、でも、2位とか3位っていうのは全然似合わない音楽。
ジスモンチが一般にどうイメージされているのか今ひとつ不明なのだが、ギター好きには「現代屈指のギターの巨匠」だろうし、ジャズ・ファンなら「ECMの鬼才」っていう感じだろうか。表現的にも技巧的にも飛びぬけてオリジナルな音楽なので、どう捉えればいいかわからない、というのが大方の意見かもしれない。
持論を述べれば、「現代コンテンポラリー・シーン最高の作曲家」であり、同時に、アルゼンチンでいうところのアストル・ピアソラに匹敵する存在だと、信じて疑わない。
ピアソラは、タンゴ・ファンからの評価が賛否両論激しく分かれるが、そうしたことを含めて、とにもかくにもタンゴを背負った。一方のジスモンチは、ブラジル、とりわけアマゾンの心象風景を負うている。本人がどこまでそんなことを意識しているか不明だが、そう聴こえてしょうがないのだ。クラシックから民族音楽までを横断し、アマゾンから多くのインスピレーションを受けている存在といえば、20世紀音楽の巨匠・ヴィラ=ロボスがすぐ思い浮かぶが、ヴィラ=ロボスの「アマゾン」から感じ取れる雄大さ、野趣溢れるメロディの美しさ・力強さ、といった要素を引き継ぐだけでなく、ある種の切迫した響き、失われつつあるものへの畏敬の念といったものが感じ取れるのが、ジスモンチの音楽の特徴という気がしている。現代資本主義社会への警告、なんてことを念頭に作曲しているわけではないとしても、どこかでそういった時代の空気を反映しているに違いない。
前置きが長くなったが、これはジスモンチ久々の新録作品。キューバの女性のみによる弦楽オーケストラ「Camerata Romeu」が演奏したディスク1と、実の息子アレシャンドリ・ジスモンチとのギター・デュオによるディスク2からなる2枚組。前者は『セルタンへの道 ― 混血礼賛』というサブタイトルがついているが、彼ならではの旋律と色彩感が表現された、いわば「観念としてのジスモンチ」作品。一方のギター・デュオ・サイドは、当然ながら本人の演奏を軸にしていて、より肉体的で、ドライヴ感に溢れる作品集。「Lundú」「Dança dos Escravos」といった代表曲の再演もある。ギターのヴィルトゥオーゾというイメージが強いジスモンチだけど、本人はピアニスト志向のほうがむしろ強いらしく、そのピアノが聴けないという点で最初に手に取るべき一枚かどうかは難しい点だが、傑作であることは間違いない。
